令和2年春季企画展「土木遺産展―関西のトンネル めぐり―」の紹介(その1)

新型コロナウイルス感染症対策のため、狭山池博物館は当面の間、開館することができません。令和2年春季企画展「土木遺産展―関西のトンネル めぐり―」につきましても、皆様方にご覧いただけない状態です。そこで、展示の様子をホームページでご覧いただけるよう写真で紹介します。

 なお、本展示は来年の3月中旬から5月上旬に再度開催する予定です。ご理解とご協力のほど、お願いいたします。

特別展示室の入り口

第1章 近代トンネルの幕開け

ここでは、明治期の代表的な10ヶ所のトンネル(技術的なエポックとなった)を取り上げています。

日本の鉄道トンネルの第1号は、大阪~神戸間の石屋川隧道(兵庫県神戸市)で、イギリス人技術者によって開削工法で造られました。1880年(明治13)には日本人技術者による日本で初めての本格的な山岳トンネル(旧逢坂山隧道)、明治14年(1881)には小刀根隧道が建設されました建設当時の姿を留める日本最古の鉄道トンネルです。明治16年(1883)には鐘ヶ坂隧道(現存最古の煉瓦積み道路トンネル)を建設しました。明治17年(1884)には、ダイナマイト、削岩機などをはじめて採用した柳ヶ瀬隧道(福井県~滋賀県)が完成しました。明治20年(1887)に開通した東海道本線上り線の清水谷戸隧道(神奈川県横浜市)は、現役としては最古の鉄道トンネルです。明治23年(1890)には、水路トンネルとして琵琶湖疏水第一隧道(日本で最初に資機材搬出入用の「シャフト(竪坑)」を採用し、工事にかかる期間を短縮)が田辺朔郎の設計監督により、京都の産業を振興すべく上水や灌漑、水運などを目的に造られ、京都の近代化に貢献しました。明治34年(1901)には、日本で最初の近代河川トンネルの湊川隧道(兵庫県神戸市)が建設されました。明治36年(1903)には、建設当時日本最大長(4656m)の笹子隧道(日本で初めてトンネル工事用の発電所を設けて、ズリ(掘削で切り崩した岩や土砂)や材料の運搬に電気機関車を導入。また、はじめて地質調査を実施)が完成しました。 坑口の上の「化粧木」の使用について、立石隧道は年代の分かるトンネルとしては一番古い例と思われる。

第2章 トンネルを楽しもう!関西のトンネル

ここでは、代表的な関西のトンネル19ヶ所を取りあげています

・トンネルの種類(用途・立地)

・トンネルのつくりかた(トンネル工法)

 ⇒山岳工法(矢板工法、ナトム工法)、開削工法、シールド工法、沈埋工法の四つ。

・トンネルのほりかた(掘削の工法と順序) ⇒部分断面掘削工法(導坑先進工法・ベンチカット工法)と全断面掘削工法

 

旧生駒トンネルの施工図
毛見トンネル(和歌山県和歌山市)

花崗岩の迫石と紀州青石(緑色片岩)による煉瓦積みが美しく、特徴的な扁額などほかに類を見ない豪華な装飾が施されています。